過去の記事にて、ハイリスク出産についての実際の体験を紹介しました。
その際に、産科クリニックからの紹介状→大学病院へ入院→救急搬送による転院→周産期母子医療センターにて緊急帝王切開、と壮絶な経験をしました。
出産をむかえるまでには、赤ちゃんの事や自分自身の身体についての心配もありました。しかし、大きい病気も怪我もしたことない私は、医療費がいったいどのくらいかかるか心配で心配でたまりませんでした。
お産というものは本当に何があるか分かりません。
そこで、私と同じように急な入院で不安を感じている方の参考になればと、ハイリスク出産に関わる実際にかかった医療費をご紹介します。
また、帝王切開だと民間の医療保険の給付金で逆に儲かるという話も聞きます。私の場合はどうだったかもお伝えしたいと思います。
※赤ちゃんのNICU入院費についてはこちらにまとめています。
産婦人科クリニックでの紹介状費用
最初に羊水過少症と診断された際に、大学病院で検査を受けるよう指示があり紹介状をもらいました。当時は、診断に対するショックで紹介状の金額を気にする余裕がありませんでした。
当日の医療費明細書を見返してみると「診断情報提供料」として250点と記載されていました。紹介状は診断書のように健康保険適用外と思っていましたが、私の場合は健康保険適用になっていました。
1点=10円なので、
2,500円×3割負担=750円
ということになります。
実際には、再診料がプラスされたり、いくつか検査を行ったので750円では済んでいませんが、大きな出費ではありませんでした。
大学病院での1泊2日の入院費用
こちらの病院では、退院時に39,065円を支払いました。内訳は以下の通りです。
①健康保険適用外の部分
差額ベット代
1日8,000円×2日間 =16,000円
食事代
1食360円×2回=720円
診察券発行料
100円
消費税
1,160円
合計 17,980円
外来で入院を伝えられた際に私はショックで取り乱しており、入院が長期になる可能性があるにもかかわらず個室を希望してしまいました。差額ベット代は医療費の自己負担の大部分を占めました。翌日転院という結末でなければ気持ちが落ち着いた2日目あたりから大部屋への移動を申し出ていたと思います。
また、いつでも帝王切開を受けれるよう絶飲食の指示が出ていたにもかかわらず、食事代が請求されていました。医師と看護師間の食事に関する連絡が上手くいっていなかったように入院中は感じていましたが、案の定の結果でした。少額だったので転院前に指摘する余裕もなくそのまま支払ってしまいました。
②健康保険適用の部分
1泊2日で診療明細書の総点数は7564点でした。
1点=10円なので、
75,640円×3割負担=22,690円ということになります。
③調整額
入院領収書には調整額として-1,605円と記載されていました。後から領収証を確認して気付いた項目でしたので、今となっては何を調整したのか確認はできませんでした。
以上が大学病院での1泊2日の入院にかかった費用①+②+③=39,065円の内訳の説明でした。
救急搬送にかかる費用
大学病院から周産期母子医療センターに転院する際に、救急車による搬送が行われました。自宅から119番で呼ぶ以外の救急車搬送は初めての経験でしたが、病院同士と地域の消防署が連携して安全に搬送してもらうことができました。
このような救急隊の出動から転院先への搬送完了までの費用は、全て税金でまかなわれています。この点は本当に感謝しています。
(転院先の病院では、「救急搬送入院加算」というものが診療明細書に記載されていました。)
周産期母子医療センターでの入院出産費用
この病院では管理入院3日間+帝王切開+産後入院6日間という流れでお世話になりました。設備の整った施設で、MFICU(妊婦の集中治療室)に3日間入っており、この入院期間の医療費は何十万とかかるのではないかととても心配でした。
しかし、こちらで退院時に会計で支払った金額は44,660円でした。万単位の大きい金額ですが、自分の予想よりはるかに安くて驚きました。
それではなぜ予想より安いのか、健康保険適用、健康保険適用外、出産費用の3つに分けて説明します。
①健康保険適用の部分
MFICUでの3日間の入院・検査・処置、帝王切開の手術等が該当し、診療総点数は120428点でした。ここには、ハイリスク分娩管理加算の7000点が含まれています。
1点=10円なので、
1,204,280円×3割負担
=361,284円ということになります。
全額で120万もビックリですが、3割負担でも36万かかってしまうんですね…
しかし、私は高額療養費制度の限度額申請を入院中に行っていたため、自己負担限度額の57,600円で済みました。
②健康保険適用外の部分
入院中の食事費用
1回360円×22回=7,920円
保険適用外の検査2つ 6,740円
合計 14,660円
③出産費用
通常の出産(経膣分娩)の場合は費用は健康保険適用外となります。以下の内訳は、通常の出産の際にも領収証に記載される項目と思われます。私は帝王切開でしたので、手術や処置の部分は①の通り健康保険適用となりました。
産後入院期間の差額ベット代
1日15,000円×6日=90,000円
分娩介助料
274,000円
お産セット代
9,160円
産科医療保障制度加入費
16,000円
出生証明書代
3,000円
合計 392,160円
以上3つを合計すると、
①+②+③=464,420円がかかります。
ここに健康保険からの出産一時金42万円が充てられました。
よって、会計で支払った額は、
464,420円-420,000円
=44,660円となりました。
健康保険の高額療養費制度の隠れた給付金
2つの病院に支払った金額についてわかりやすいように表にまとめてみました。
保険適用 | 保険適用外 | その他 | 合計支払額 | |
大学病院 | ¥ 22,690 | ¥ 17,980 | ¥ -1,605 | ¥ 39,065 |
母子医療センター | ¥ 57,600 | ¥ 406,820 | ¥ -420,000 | ¥ 44,420 |
¥80,290 |
¥83,485 |
保険適用部分の費用の合計が80,290円ということが分かります。
高額療養費制度の自己負担限度額は、私の場合57,600円ということは先に説明しました。
今回は転院によって保険適用部分の医療費を自己負担限度額以上に支払ってしまっていました。しかし、2つの病院での入院費用は同月内に発生していたので、自己負担限度額を超えて払った費用は健康保険組合より3か月後にちゃんと戻ってきました。
さらに、私の加入している健康保険組合では独自の付加給付が有り、自己負担額は2万円で済むというとてもありがたい制度があります。
したがって、80,290円の内の2万円を超えた金額である6万円が 後に戻ってきたのでした。
このように高額療養費制度のさらなる効果によって、2つの病院でかかった医療費は、
83,485円-60,000円
=23,485円で済んだのでした。
民間の医療保険で儲かるのか?
私は以下の内容の民間の保険会社の医療保険に加入しています。
【入院給付金】
1日につき5,000円
【手術給付金】
帝王切開の場合は入院給付金の10倍
【女性疾病入院給付金】
1日につき5,000円
【先進医療給付金】
通算1000万円限度
上記の内容の60日型で月々2,943円の保険料です。
今回の2つの病院での10日間の入院、手術に対して保険金の請求をしたところ、
合計で15万円の保険金をもらえました。内訳は以下の通りです。
入院給付金として、
5,000円×10日分=5万円
手術給付金として、
5,000円×10倍=5万円
女性疾病入院給付金として、
5,000円×10日分=5万円
合計15万円
2つの病院での入院で負担した金額は23,485円でしたので、
約12万円以上の儲けがでたことになります!
このように計算すると、健康保険の恩恵は大きいので民間の保険会社の医療保険は不要ではないかと感じてしまいます。
また、私はこの医療保険に加入して約7年経過し、初めて保険金を請求しました。
月々約3,000円×12か月×7年=約25万円と、
今まで払い続けた保険料と比較すると、残念ながら儲けは出ていないことが分かります。
こうして考えると、貯金があれば民間の医療保険の必要ないのではと改めて思いました。
しかし、切迫早産での長期入院や、帝王切開で3人出産していたらと考えると、医療保険に助けられることもあると考えています。
これから出産に備える女性が医療保険への加入を検討するのであれば、
1日につき5,000円程度の入院給付金がもらえる内容で十分だと思います。
月々1万円以上保険料を払うような医療保険では、妊娠出産によって保険金で元を取れる可能性はかなり低いと私は考えます。
高額な保険料の医療保険に加入されていれば、減額できるか確認してみると良いかもしれません。