このブログの筆者であるうさぎは、次男の帝王切開での出産から1年が経過しました。
初めての帝王切開の経験でしたので、退院後はネットで調べた情報を元に試行錯誤しながら傷痕のケアに徹した1年でした。
傷痕ケアに関する商品は様々ですが、
私はレビューを参考に3種類の傷痕テープを購入し試してみました。
この1年の努力の結果、私のお腹にある帝王切開の横1本の傷痕は近くで見ないと分からないほど白く綺麗になった場所と、赤く盛り上がりができてしまった場所に分かれてしまいました。
このような傷痕ケアの成功と失敗の原因を、
1年経過した今は理解しています。
術後早いうちからの正しいケアが鍵ですので、私の経験がこれから傷痕のケアを始める方の参考になればと思っています。
この記事では、3種類の傷痕テープの使い心地、ケロイド防止の効果について、
術後の傷の変化の様子と共にまとめています。
傷痕ケアの基本
私は自分の経験から、傷痕のケアの基本的な知識がないと、傷痕テープを正しく使用できずに傷痕をきれいにする効果に差が出ると考えます。
手術による傷が治る段階
そこで、はじめに傷が治る仕組みについて説明します。
手術によってできる傷は、炎症期・増殖期・成熟期と経て、傷ができて半年から1年をかけて治っていくと考えられています。
炎症期は術後から約3日くらいまでの期間を指します。
傷口が閉じていく過程で傷は赤く腫れ、熱を持ち、痛みが生じます。
この時期は帝王切開後の最も痛みの強い時期ですよね。中には体全体が発熱してしまう方もいると思います。もし、包帯を外してみて傷口が閉じているように見えても、皮膚の中では炎症が続いています。
増殖期は炎症期の後から術後約1か月の時期を指します。
新しい細胞が増殖して、細胞が欠損して隙間が空いてしまった傷の中を埋めていくのです。この時期に痒みが生じていきます。
成熟期は増殖期の後から術後1年の期間を指します
活発化していた細胞が徐々に落ち着いていき、白くきれいな傷痕になっていきます。この時期でも傷の細胞は活動中ですので、傷に刺激を与えてしまうと傷が赤くなってしまいます。
次に、傷痕をセルフケアする上で注意すべき点について説明していきます。
きれいに傷を治していくためには上記の期間、以下の3つの刺激から傷を保護する必要があります。
紫外線による刺激
傷を負った部分の皮膚はダメージを受けやすい状態となっています。紫外線を浴びた通常の皮膚ではメラニンが生成されてシミの原因となりますが、傷を負った皮膚はメラニンによる色素沈着が起こりやすいのです。そのため、傷痕が黒ずまないよう紫外線による刺激から守る必要があります。
摩擦による刺激
帝王切開の場合は下腹部に傷ができるため、下着で擦れやすくなります。傷が治る過程で摩擦による刺激を与えてしまうと、せっかくきれいに治ろうとしている傷の細胞が過度に活発化してしまい、傷が赤く盛り上がってしまいます。
傷が引っ張られる刺激
傷が治る過程で、傷の中の細胞は治ろうと活動を活発化させています。傷が引っ張られることにより傷の中の治ろうとしている細胞が過剰に活発化してしまい、傷痕が広がって膨張したり盛り上がったりしてしまいます。
ここまでは、傷痕をセルフケアする上で注意すべき点についてまとめてきました。
それでは、私が帝王切開後に実際に使用したテープについて時系列で傷の変化の様子と共に説明していきます。
3M ステリストリップ
帝王切開の傷を塞ぐ方法としては縫合やホチキスといくつか手段がありますが、私が出産した病院ではテープで皮膚を寄せてくっつけるというものでした。
テープ式の傷の塞ぎ方であれば抜糸がないので痛い思いをしなくて済むのですが、傷が開いてしまうのではとヒヤヒヤしました。
そして、私が手術中に貼られていたテープというのが、
3Mのステリストリップという商品でした。
実際に貼られたものはステリストリップの病院用に販売されている商品だと思われます。看護師は「ステリーテープ」と呼んでいました。
以前に長男がおでこを怪我して縫合した際にも、処置後の上からこのステリストリップが貼られていました。
このテープの貼り方について、とても雑ですがペイントで図を作成してみました。
以下の図のように、傷に対して垂直に隙間なく貼っていきます。
※赤い線が傷、黒い縦長の長方形11本がステリストリップを表しています。
繊維の入ったテープが傷の上下の皮膚を寄せて、引っ張られる刺激から傷を守ってくれるのです。
医師からは、テープが自然に剥がれるまでは貼ったままで生活するように指示されました。
シャワーを浴びる際にも剥がさず、泡立てた石鹸でやさしくテープの上から洗って良いのだそうです。
テープには小さな穴が空いているので、そこから傷の表面に石鹸の界面活性剤が届き、皮膚を洗浄してくれるとの事でした。
結局のところ術後1か月経ってもテープは剥がれず、血が滲んでいたり、全体的に茶ばんでしまったテープを貼ったままの状態で1か月検診を受診しました。
テープが汚なくなっていて恥ずかしかったのですが、検診の際にも医師からは自然に剥がれるまで貼ったままでいるよう指示がありました。
1か月検診から1週間経過して、さすがに不衛生ではないかという思いと、そろそろ傷がどうなっているか見てみようという思いからテープを剥がしてみました。
この時期は、傷の治る過程で言うと増殖期にあたります。
傷の状態は、素麺くらいの細くて赤い1本の傷になっていて、傷の回りの皮膚にほんのり腫れが残っているようでした。
この時は傷の盛り上がりはありません。
そこで赤みがなくなるまでは傷の回りの皮膚を引き寄せた方が良いと思い、自分でもamazonでステリストリップを購入しました。
私の傷の長さは横に14㎝あったので、テープを貼る枚数が少しでも少なくなるよう、テープ幅の広い12㎜のものを選びました。
中にはシートが2枚入っており、
1枚のシートに12㎜×100㎜のテープが3本貼られています。
このまま使用するには長すぎるため、写真の下のようにシートを3分の1の大きさに切ってから使用しました。
医師の貼り方と同じように上下の皮膚を寄せながら貼ってみました。
しかし、お風呂で水に濡れるとピラピラと剥がれてきてしまいました。
病院用のものとは粘着力が違うのかもしれません。
これでは傷を寄せておくことができないため、別の商品を探してみました。
3M マイクロポアテープ
次にネットで傷痕を保護するテープを探してみたところ、
同じ3Mのマイクロポアテープという商品を見付けて購入してみました。
この商品を選んだ理由は、自分の入院していた病院の売店にも置いてあったので、手術後に一般的によく使用されているのかなと思ったからです。
マスキングテープとテーピング用のテープの間のような商品で、肌色で貼っても目立ちにくいのが良いなと感じました。
幅の太いテープですので、以下の図のように傷を覆って貼ってみました。
※赤い線が傷、オレンジの長方形がマイクロポアテープを表しています。
粘着力が強く、お風呂で水に濡れても全く剥がれませんでした。
しかし強すぎる粘着力で、傷から剥がす際の剥離刺激が良くないのではと私は気になってしまいました。
そこで私はマイクロポアテープが傷に直接触れないように、先に紹介した余っているステリストリップとの合わせ技で、以下の図のように使用してみました。
※赤い線が傷、黒い長方形がステリストリップ、オレンジの長方形がマイクロポアテープを表しています。
今までのように傷の上下の皮膚を寄せるようにステリストリップを隙間なく貼り、剥がれないようにマイクロポアテープで上から補強をしてみました。
これでお風呂に入っても剥がれることなく過ごせるようになりました。
しかしマイクロポアテープは粘着力が高いため、貼って3日目あたりから痒みを感じるようになってしまいました。
私は湿布にかぶれる体質のため痒みは仕方ない思うようにして、回りの皮膚を保湿したり保冷剤で冷やしたりして痒い部分をかかないように気を付けていました。
なかなか剥がれないため、3週間に1度のタイミングで交換し、術後3カ月まで貼り続けていました。
その後は、術後3カ月の頃が真夏だったこともあり、痒みと面倒さにテープを貼ることを一度辞めてしまいました。
その頃の傷の状態は、変わらず素麺ほどの細さの赤い線のままでした。
しかし、1か月くらいすると赤い線がスパゲティくらいに太くなってきているように感じました。
やっぱり何か保護しないとダメだと思い、次のケア方法を検討し始めました。
ギネマム レディケア シリコンシート
次に購入したのはギネマムという会社のレディケアというシリコンシートです。
1か月検診の際にこの商品のチラシを病院から貰って気になったのですが、
価格が高いために購入は考えませんでした。
しかし3か月後、太くなっていく傷を見て焦って購入しました。
箱の中には透明のケースと、ヘラ1本、2枚の細長いシリコンシートが入っています。
ベッタリとケースにシリコンケースが貼り付いているので、ヘラを使用して型抜きのように回りを縁取って空気を入れ、シートが破れないようにゆっくり慎重に剥がします。
使い方は、シリコンシート1枚を傷を覆うようにギュッと押さえつけて貼り付けます。
厚みのあるシートですが粘着力もあり、下着で押さえつけられてしまうので剥がれてしまうことはありません。
また、厚みがあるおかげでデニムを履いても傷が保護され、痛むことはありませんでした。
シートは2日程で剥がして、肌に触れる部分の皮脂汚れを石鹸で洗って乾燥させます。
乾燥させている間にもう1枚のシリコンシートを貼って交代で使用します。
このようにして2か月間使用できるようです。
私は個人的には、石鹸で洗うよりも水を付けた指の腹でくるくると破れない程度に擦った方が皮脂汚れが落ちているように感じました。
使用しているうちに落ちない皮脂汚れが溜まっていき、シートの粘着力が弱くなったら使用期限が切れたと考えます。
私は2か月経過してシリコンシートが汚くなってしまったので、もう1箱購入し再度2か月使用してみましたが、価格がネックで3箱目の購入には至りませんでした。
その頃の傷の太さは変わらずスパゲティくらいのですが、白い線になってきている部分もありました。
既に術後6カ月も経過したのでもう大丈夫かなと考え、
その後はテープでのケアを辞めてしまいました。
ヒルドイドローション
その後、冬になり肌は乾燥しますし何も傷痕をケアしないのは良くないと思い、毎日お風呂上りにヒルドイドローションを塗っていました。
傷痕ケアの塗り薬としてアットノンという医薬品が有名だと思いますが、このアットノンには肌のターンオーバーを促すためのヘパリン類似物質という成分が含まれています。
処方薬であるヒルドイドにもヘパリン類似物質が含まれているため、傷痕ケアに良いとの情報を私はネットで見つけました。
そこで、以前腕に湿疹が出た際に皮膚科で処方されていたものが自宅に余っていたので使用してみました。
1か月ほど試してみましたが傷痕がきれいになる様子は短期間では見られず、赤くスパゲティくらいの太さだった傷の部分が盛り上がってきているように感じました。
傷痕の経過で言うと成熟期ですが、テープなどで傷を保護しなかったため何らかの刺激を与えてしまい、傷の中の細胞が過剰に活性化して盛り上がってしまったのだろうと考えています。
そこで、盛り上がってしまった部分を圧迫する必要があると考え、再度レディケアを購入し、術後1年経った今も貼り続けています。
貼り心地と保護力
3種類のテープの貼り心地を比較すると、レディケアが最もかぶれにくく、厚みもあるため傷が保護されているように感じました。
透明ですが下腹部は紫外線を直接浴びることもないため、帝王切開の傷であれば紫外線からの保護については気にならないと思います。
ステリストリップやマイクロポアテープも摩擦刺激からは保護してくれますが、クッション性ではレディケアには劣っています。
私にはマイクロポアテープの粘着力が肌に合わず強い痒みを生じさせたので、継続使用は諦めてしまいました。
耐久性
テープの耐久性の強い順に並べると、レディケア、マイクロポアテープ、ステリストリップの順になります。
レディケアは購入後のケースから取り出す際のみ破れに気を付ければ2か月はもちます。
マイクロポアテープは粘着力が強くて剥がれにくいですが、1日でテープにシワが寄って、寄った部分にお風呂で水が入ってフニャフニャしてしまいました。
ステリストリップは私の貼り方が悪いのか1日で剥がれてしまうため、単独で貼り続けることはできませんでした。
ケロイド防止の効果
ステリストリップ
上手に貼ることさえできればステリストリップで傷の回りの皮膚を寄せておくのが最もケロイド防止の効果があるのだろうと考えます。
実際に病院で使用されていましたし、ステリストリップを使用したおかげで傷が白くなった部分もあったからです。
しかし、自分1人で皮膚を寄せながら貼り付けることは難しく、テープの効果が出ずに赤いままになっている部分もあります。
テープを複数枚予め切っておいて、傷を寄せながら貼るという手間のかかるケア方法ですので、産後の赤ちゃんのお世話で大変な時期に継続することはなかなか難しいのではと私は思います。
マイクロポアテープ
私はマイクロポアテープを直接傷に貼り続けることができなかったので、申し訳ございませんが効果は不明です。
粘着力が高くて剥離刺激が強いため、術後半年くらいまでは直接使用すべきではないのではと個人的には思います。
傷痕の経過が良く白くなってきた後に、紫外線による黒ずみを避けるために使用するのが正しい用途なのかなと思いました。
レディケア
傷の回りの皮膚を寄せる効果はステリストリップに劣るかもしれませんが、レディケアも傷が伸びる刺激から十分守ってくれますので、誰でも均一に傷を圧迫するという点で良いテープだと思っています。
価格が高いため継続使用が難しいですが、術後よりも傷の大きさは小さくなっていきます。
そのため、徐々にシートをサイズダウンさせることによって金銭負担を抑えることができます。
私も初めはレディケア16を使用していましたが、現在はレディケア12を使用しています。
おかげで金銭的負担は約1,000円減りました。
レディケアの説明書には2,3日貼ったままで大丈夫との記載がありましたが、現在私は自己責任で1週間以上貼りっぱなしにしています。これは少しでも剥離刺激から避けるためです。
また剥がす頻度が少ないのでシートに皮脂汚れが残る回数が減り、2か月以上はもっています。
何度も言いますが、あくまでも自己責任でこのように使用しています。
術後1年経過して思うこと
とにかく傷痕のケアは術後すぐから1年は継続することに意味があると思います。
そして、傷が引っ張られないように保護することがケロイド防止に直結すると思いました。
1か月検診が終わった後、金銭的負担は覚悟の上でレディケアをずっと続けていれば、全て白いきれいな傷痕になったのではと今は思います。
現在も傷が赤く盛り上がって、みみずばれのようになっている部分があります。
これは、細胞が過剰に活発化して余分に繊維組織が作られて盛り上がっているそうです。
時間が経つとこの余分な繊維組織が吸収されて盛り上がりが落ち着く場合もあるようなので、レディケアでの圧迫を継続しようと思っています。
このような私の経験がこれからケアを始める方の参考になればと思います。