今から約1年程前に、私は羊水過少症という診断を受けました。
羊水過少症とは、妊娠中の母体の子宮内の羊水が、本来あるべき量より少ない症状の事をいいます。
この記事では、はじめに羊水過少症の概要を説明していきます。
そして次に、羊水過少症と診断された後、なんとか赤ちゃんが助かり無事出産へと繋がった私の実際の体験を紹介していきます。
羊水が少ないことによる赤ちゃんへの影響
赤ちゃんの心拍の異常
赤ちゃんは子宮内で羊水にぷかぷか浮いた状態で外部からの衝撃に守られています。羊水が少ないと、母親や赤ちゃんが動いた際に胎内のへその緒を圧迫してしまいます。へその緒が圧迫されると、母体から赤ちゃんへ血液を通して十分な酸素が送られず、赤ちゃんの心拍が低下してしまい危険な状態となります。
新生児仮死
上記のような低酸素状態の場合に新生児仮死となることがあります。新生児仮死とは、出産時に赤ちゃんが呼吸不全になってしまう状態のことをいいます。この場合、蘇生することができなければ赤ちゃんは亡くなってしまうのです。
赤ちゃんの手足の変形
長期の羊水過少は、赤ちゃんの体が羊膜に癒着してしまったり、赤ちゃんを圧迫することによって赤ちゃんの手足が変形してしまうこともあります。
羊水過少症の原因
破水によるもの
羊水の満たされている羊膜に穴が開く、すなわち破水によって羊水が漏れてしまいます。出産の際には破水が必ず起こるのですが、まだ出産に適さない時期に破水することを“前期破水”と呼びます。羊水過少症の原因の半数以上が前期破水によるものだそうです。
赤ちゃんの身体機能の異常によるもの
赤ちゃんは胎内にいる間に、水分を飲み込む練習をしていると言われています。羊水を飲み込んで赤ちゃんの体内で消化し、腎臓で尿にして出すのです。赤ちゃんの腎臓機能に異常がある場合に、尿として出すことが上手くできずに、羊膜の中の羊水が減ってしまうことがあるそうです。
母体の胎盤機能低下によるもの
母親が妊娠高血圧症候群の場合、母体の胎盤機能が低下することがあります。胎盤機能が低下すると、お腹の中の赤ちゃんに胎盤を通して、十分な酸素と栄養を含んだ血液を送ることができなくなります。よって、赤ちゃんの胎内での発育が遅れ、羊水を飲んで尿を出すということができなくなります。
母体の接種物による影響
母親が利尿剤や非ステロイド系消炎鎮痛剤を接種した場合に、赤ちゃんの尿が減ってしまうことが分かっているようです。
羊水過少症の対策
羊水過少症になり羊水の量を改善するための治療法はほとんど無いに等しいそうです。対策として羊膜内に人工羊水を注入するという方法もあるようですが、感染のリスクを伴うためこのような措置を行う病院は稀のようです。
羊水過少症によってお腹の中の赤ちゃんが危険な状態となる場合には、緊急帝王切開となる確率が高くなります。
羊水過少症と診断された私の実際の体験
ここからは、私が羊水過少症と診断されてからの妊娠の経過について、実際の体験を紹介していきます。
この記事では、なぜ羊水過少症と判断されたのか、診断当日の詳細から順に書いていきたいと思います。
私が羊水過少症と診断されたのは、妊娠27週の妊婦健診の時でした。
それまでの妊娠の経過は順調で自覚症状もありませんでした。
2週間前の妊娠25週の検診では、スクリーニング検査が行われました。超音波エコーで赤ちゃんの臓器に異常が無いか、時間をかけてしっかり確認してもらいました。もちろんその時に異常は見つかりませんでした。
妊娠27週の検診当日は、産院で予定日の近い友人にバッタリ出会い、妊娠の経過をお互いに報告し合いました。
私と身長は同じくらいの友人ですが、私よりもずっとお腹が大きくて、「同じ週数には見えないね」と話していたのを覚えています。
今思えば、週数の割にお腹が小さいというのが自覚症状の1つだったのです。
いつもと同じようにエコー検査の部屋に呼ばれ、ベットに横になり先生の入室を待ちました。
その後、部屋に入ってきたのは見慣れない先生でした。
エコーをお腹に当ててグルグルと赤ちゃんの影を探ります。
いつものエコー検査では赤ちゃんの頭囲、お腹回り、足の長さを確認して推定体重を算出するのですが、先生はなかなか赤ちゃんを捉えることができていませんでした。
先生もあれ、あれ?と焦っていたので、「エコーに慣れていない非常勤の先生に当たっちゃった」くらいにしかその時は思いませんでした。
すると、先生は「お待ちくださいね」と言って他の先生を呼びに部屋を出て行ってしまいました。
先生達が戻りながら交わす会話から「羊水が少ないかも」という言葉が聞こえました。しかし、私は気になりませんでした。
羊水が少ないことによるリスクを全く知らなかったためです。
常勤の先生にエコーを代わってもらうと、やっと赤ちゃんが写りました。
穏やかに先生が「確かに羊水…少ないね」と言いました。
子宮の壁から赤ちゃんまでの間は、羊水で満たされている場合にエコーでは黒く写るのですが、黒い部分がほとんどありませんでした。
先程の非常勤の先生が赤ちゃんを捉えることができなかったのは、羊水が少ないことが原因だったのです。
これは、出産を経験された方であれば分かると思うのですが、出産が近くなると自然と子宮内の羊水が減って、子宮の壁に大きく成長した赤ちゃんがギュッとくっつくので、赤ちゃんの顔をエコーで捉えることが難しくなります。
それと同様に、私の赤ちゃんは妊娠中期にもかかわらず羊水が少ないため、エコーに写りにくくなっていたのです
さらに推定体重は約900gで、週数から考えると赤ちゃんは通常よりも小さかったのです。
前回のカルテを確認し、赤ちゃんが2週間前から成長していない事が分かりました。
羊水が減っているため、内診を行って破水の有無の検査をしましたが、破水の兆候はありませんでした。
そして、病院内の奥の別室に呼ばれ、羊水過少症の疑いがあると宣告されました。さらに大学病院で検査を受けるための紹介状を用意するの事でした。
そこで初めて羊水が少ないことが重大であることに気が付き、私は大きな不安に襲われました。
診察室を出て待合室で「羊水過少症」とスマホで調べてみました。
ショックで身体に力も入らず、いくら読んでも文章が頭に入らなかったのを覚えています。
そして、妊娠中期の羊水過少症の予後は悪いという記事を見つけてしまいました。
このまま家族に対していつも通りの自分を装って帰宅できる精神状態ではありませんでした。1人で病院の駐車場に停めた車の中で涙を流していたことを覚えています。
長くなりそうなので次の記事にて、紹介状を手にすがる思いで行きついた大学病院での出来事を紹介します。
※無事産まれたわが子の成長過程はこちらにまとめています。